福島編 昏い春

文・写真/侍ライダー 木村峻佑

3月28日。

起きがけに天気予報を見てみると、翌日はまさかの大雪という情報が目に入る。

栃木にはあと2日ほど滞在する予定だったが、現在地は高原として有名な那須塩原。ここから福島へ入るには、少なからず山道を通る。とすると、雪が降ればかなり足止めを食うことになるわけで・・・。

「しかたない。福島の平野部まで、一気に進んじゃおう」

思い出したように言うが、福島の沿岸部には実家もある。那須から西郷村へ入ると、国道289号を通りいわき市・小名浜港へ転がり込んだ。

小名浜の物産販売施設『いわき・ら・ら・ミュウ』の駐輪場では、愛車と大橋、水族館を一挙に写真に収めることができる。
この日は雨雲に追われていたので、微妙だったが…。

日をまたぎ、いよいよ春らしい陽気になったところで、小名浜港を散歩してみる。

福島最大の港である小名浜港は、漁港としての役割はもちろん、常磐炭鉱が近場にあったこともあって商港としても重要視されてきた。私が学生だったころは、港近くに物資運搬用の線路が走っていたものである。

最近はそれらが撤去され、大型商業施設が建てられたこともあり、観光地としての色を強めている印象だ。

上でバイクを停めた「ら・ら・ミュウ」では、いわき市の魚であるメヒカリの定食が食べられる。マイナーな話かもしれないが、アフリカ大陸一周、世界一周、日本一周複数回を達成し、古希を過ぎた今も旅を続ける偉大なライダー・賀曽利 隆氏が、テレビで取材を受けながら食べていたのがこれ。

さて、腹ごなしを済ませたところで辺りを見てみるが、

「やっぱり俺しかいねぇな……」

食堂内でメヒカリを貪っていたのは、終始私だけだった。

「ら・ら・ミュウ」内を探索してみても。

文字通り人がいない。名誉のために言っておくが、ふだんはもっと人で賑わっている場所なのだ。それでも足音が響くほど静かなのは、平日だからだけではなく、やはり新型コロナウイルスの影響だろう。

実家に着いて久々にテレビを眺めていたら、新型コロナウイルスの悲惨な状況がひっきりなしに目に飛び込んできた。

正直、私自身は楽観視していたのだが、この状況はあまりにも、酷い。

「こんな中、俺だけ出歩くってのもちょっとなぁ…」

心苦しい決断だが、しばらく福島の実家で待機することにした。

大変申し訳ないのだが、こちらの記事もいましばらく更新を待っていただきたい。

もちろん、“3密”を避けてできることがあれば更新していきたいのだが…。

こんな昏い春は、もう二度と味わいたくはない。そのためにも、皆でウイルスに打ち勝とう。

[EIGHTH編集部注]
新型コロナウイルスの影響を鑑み、侍ライダー 木村峻佑の旅は一時中断させていただきます。再開については政府等の方針等を踏まえ検討いたします。