宮城・志津川港編 元に戻す

文・写真/侍ライダー 木村峻佑

石巻方面から国道398号~45号を北上していくと、津波対策の防波堤が“また”現れた。

東北の太平洋沿いを旅すれば、東日本大震災の爪痕が嫌でも目についてくる。
それでも岩沼、石巻と見てきて、その復興の進み具合に心打たれたものだが、今日訪れる志津川はどうだろうか。

峠道ほどキツくない緩やかなカーブを鼻歌交じりにクリアし、山間を吹きつける潮風を浴びながら志津川港にたどり着く。

「おぉ、ここは・・・」
思わず顔がゆるんだ。

“穏やか”、という表現がよく似合う。
沖は白波が見えないほど平坦な水面をたたえており、午前中に着いたおかげか周りには人っこ一人いなく、聞こえるのはカモメの声と漁業用製氷所の稼働音のみ。
日和が良いこともあり、ヘルメットを取るのも忘れしばらく足を止めた。

港には荒嶋なる神社を擁する小島があり、海の青と木々の緑、そしてポツンとそびえる鳥居の赤が、日本的な風情をかもしだしている。
中に入ることもできるが、参道は自然道が混じるほど狭く急坂なので、多少の疲労は覚悟を。

全長300mほどの人口海水浴場も整備されている。砂はフカフカで、倒れ込むと熱砂と陽光とで体中が一瞬で暖まる。夏とはいえ、海沿いをバイクで走れば寒いという方もいるだろう。さぁ、ここで寝ころぶんだ。

“人がいない”なんて復興が進んでいないとも捉えてしまいそうなことを言ってしまったが、付近には『南三陸さんさん商店街』なる場所も作られていて、中には海鮮物をはじめとする地の物の販売店はもちろん、カフェや散髪店、整骨院まで並んでいた。

今回頂いたのは、『かいせんどころ 梁』さんのマグロ三色丼(税込1,485円)。宮城米の上に分厚いメバチ&ビンチョウマグロとネギトロが載せられ、それに独自配合という醤油をかけていただく。

さすがにお昼をすぎると人も増えてきたが、それでも喧騒などというものは一切無縁な、ゆるやかな時間が過ぎていく場所であった。日没はまだ先だが、今日はもう、ここでいいかなと思い始める。

“できれば、このぐらい静かな場所でいてほしいな”と思ってしまった。
しかしそれは、この土地の人々の想うところなのだろうか。きっともっと、復興して、もっとたくさんの人に来てほしいと思う人もいるんじゃないだろうか。
でもそうしたら、ここ特有ののんびりとしたひと時を、もう過ごせなくなるかもしれないわけで・・・。

う~~~~む。難儀な話である。
小一時間もそんなことを考えたら、どうしようもないことだとあきらめをつけて。また砂浜に寝ころんだ。
とりあえず今できるのは、今この状態を満喫することぐらいなのであった。