北海道編 新天地・北海道へ

文・写真/侍ライダー 木村峻佑

6月21日、午前6時。青森県大間。
ついに、この時がやってきた。
磯の香り漂う風が鼻をなぜ、耳には海鳥たちの声。
そして、目の前には壁と見まがうばかりの船体が横たわっている。白いその身には“津軽海峡フェリー”の文字。

「いよいよだなぁ・・・」

出航時刻30分前になると前方下部のハッチが開き、バイクや車が船内へと誘導される。
まさか自分で固定するんじゃとビクビクしていたが、ちゃんと係員の方がやってくれたので安心だ。

おとなしくしてるんだぞロケットさん。

甲板で港を眺めていると、やがてボーーッとドラマでよく聞いたあの汽笛が鳴る。揺れを感じないほどゆっくりと、しかし確実に景色が流れていく速度で、フェリーは動き出した。
やがて船足はどんどん速まり、昨日キャンプした大間崎が白く霞んでいく。

思えば生まれてこのかた、私はあの島でずうっと暮らしていたんだなということに気が付く。もちろん本州は大きいのだが、やがて墨絵のように薄暗くなっていく島を見ていると、なんだか小さく思えてしまって。
まさに井の中ならぬ、島の中の猿。だったんだな、と思い知らされた。

だが、今日からの私は違う。大海を知る男になるのだ。
踵を返せば、函館山が、函館のビル群がくっきりと見えだしてくる。

文字通りの新天地!
移動し、見知らぬ土地を踏むことが旅の醍醐味ならば、新しい島を踏むことは、旅人にとってこの上ない悦びだろう!

「は~るばる来たぜっ函館ぇっっ!」

手始めに北島三郎先生の歌でも有名な函館を流そうとしてみたのだが、

「うおお路面電車だっ!っていうか道幅広い! 一車線?? 二車線なのかコレ!?」

「なんじゃこの急こう配は!? しかも何故石畳! 怖すぎる!」
という感じで、早くも新大陸の洗礼を受けることとなった。たまらずバイクは置いて、徒歩で街を散策することにする。

付近の看板によれば、函館は1859年、長崎・横浜とともに我が国最初の開港場として開かれた場所。早くから諸外国の文化が流れ込んできた街なのだそうで、歩いてみれば旧イギリス領事館やキリスト教、ロシア正教の教会などが見られ、まさに異国情緒な雰囲気が漂っている。先ほどの石畳も、そういった文化が入り混じった結果なのだろうか。

“未経験”の光景に驚愕したのは、そうした函館の歴史によるものか、それともブラキストス線を越えた北海道によるものなのか。

その答えは、さらに北海道の地を探検してみないとわからないが、とにかく函館という街は“知らない景色を見る、味わう”という旅の興奮をとてつもなく堪能させてくれる、素敵な玄関口であるということは断言したい。