北海道編② 北海道。いちばんの魅力は・・・何もないこと

文・写真/侍ライダー 木村峻佑

「やっぱり、いつかは北海道に行きたいですね」
前職では一般のライダーたちへインタビューする機会が多かったのだが、“やってみたいことは?”と聞くと、高確率で返ってくるのが“北海道”というワードだった。

正直、自分にはその気持ちがわからなかった。
北海道とはいえ、同じ日本。どっかになが~~い道があるぐらいで、景色とか同じじゃないの? と、思っていたのだが。
まさに、百見は一触に如かず。

「うおーっ、すごい! 海への滑走路だ! 白樺もいい感じ~!」(噴火湾パノラマ館前にて)
「また直線路だ! 直線路しかないんじゃないのか、北海道!!」(黒松内町付近の国道5号線にて)

北海道へ行く前に、「北海道 まっすぐな道」なんて検索している人、安心してほしい。
わざわざ調べなくても、適当に走っていればこんな写真がイヤでも撮れる。まっすぐな道があるんじゃなくて、まっすぐな道“ばかり”なのが北海道なのだ。

何分間もハンドルまっすぐ。なるほど、今まで北海道とは雰囲気を楽しむものだと思っていたが、しっかりと未体験、ここ固有の面白さを味わわせてくれる。だからみんな、走りたくなるんだろうなぁ。

両脇を囲む草木も寒気で洗練されているのか、本州と比べると背を伸ばしてすっと立っている印象で眺めていて気持ちいいし。

美瑛・白金青い池。近くに二輪車100円で停められるアスファルト駐車場あり

こんな風に“絶対にここにしかない”っていう景色もあるから、走り好きじゃなくて旅好きでももちろん楽しめる。

人の手によるものだって必見だ。果ての地とあなどるなかれ、札幌へ行けばビル群が眺められるし、

旭川・雪の美術館

彼女とタンデムで・・・なんて人にはぜひ寄ってほしい、日本離れした場所もいっぱいある。

ただ、個人的にオススメしたいのは、旭川より北のエリア。国道40号と275号。
なぜかって、何もないから。

道央までで見かけた豪華絢爛な建物や風光明媚な自然も、何もなくなる。ただただ、道が続く。それだけ。だからオススメしたいのだ。

ひたすらストレートを走り、たまに緩やかなワインディングに入り。たまに牛を見て。そんな数時間に飽きてくると、“なんで、俺は今、走ってるんだろう?”と、自分を見つめる時間が生まれ始める。
忘れていた“ただ走るだけで楽しかった”ビギナー時代を思い出す人もいるだろうし、「もう飽きた!ライダーやめようかな(笑)」なんて辟易する人もいるだろう。
何はともあれ、そんな思考を深堀りしていった中で、“自分はどんなライダーなのか”が明確になってくる。つまり自分を知ることができるのだ。

自分とは、何なのか。
日頃は忙しくて、なかなか考えられないそんなことに答えが出たあたりで、猿払村や、稚内の真に何もない景色が飛び出てくる。すると胸がスッとして、笑みがこぼれてくるのだ。
この感覚は、実際に走った人にしかわからないだろう。

だからきっと、宗谷岬に辿り着くライダーたちは、みんな笑顔なのだ。
ただ単に最北端に来ただけとは思えない、スカッとする笑顔をしているのだ。

とにかく北海道とは、ただ景色や雰囲気を楽しむ場所ではないことは断言したい。
まだ行ったことがない人は、ぜひ一度行って、無の道のりの中で、自分探しをしてみてほしい。