秋田編 天然ジェットコースター

文・写真/侍ライダー 木村峻佑

「マジメにやっでっが~~!!」
「やっ、やってます・・・!」

長旅をしている身だと、各地方のお祭りを見るために時期を合わせる・・・というのはなかなか難しいものである。青森のねぶたも、北秋田の綴子太鼓も資料館を見て満足するしかなかった。(そもそも今年はコロナの影響で大半が中止であるが・・・)

秋田は男鹿半島、ここ『なまはげ館』は違った。
大晦日にしか行なわれないということを考慮したのか、こうして“なまはげが来る夜”を再現してくれるのだ。ひと言ながらも、低く野太い声で声をかけていただき、“やっと伝統行事に触れ合えた”とちょっぴり感動したものである。

正直なところ、秋田といえば
「ハタハタ、きりたんぽ、小野小町・・・、あとはなんだか、のんびりとしたところだな」
というイメージしかなく、唯一“ほのぼのしていない”なまはげを見に来たのだが、それも終わってしまった。
取り敢えず、のんびりとした道を伝って、このまま男鹿半島を一周してみよう。

県道55号・入道崎寒風山線を通り、突端の入道崎へ到着すると灯台が見えてくる。
「いつも通り灯台があって、見晴らし台があって、って感じでしょ」とバイクを降り、岬の方へ歩いてみると・・・

おおおおお??

てっきり崖になっていると思った稜線の向こうには、青々とした草原が広く広がっていた。その先に海、空が連なっており、視界が緑と青の2色でいっぱいになる。これには、良い意味で裏切られた。

のんびりした県だなんてとんでもない、痛快な景色だってあるんじゃないか。秋田に詫びを入れて寝っ転がり昼寝をする。
だが、本当の雄々しい秋田はそこからだった。

「うぉぉぉぉ~!すげぇ~~~~!」
入道崎から西海岸へと出る県道121号&59号は文句なしの快走路。左に丘陵とそれを覆う森、右に奇岩に打ち付ける波を拝みながら、風と共に海岸線に沿って走っていく。
これだけなら北海道や青森の日本海側でも同じような体験ができたのだが、秋田で特筆すべきは“スリル”があることだった。

この道、路面状況は悪くないのだが、総じて細め。でありながら崖っぷちギリギリに設けられた道であるから、ふと視線をズラすと谷底がすぐそこにあるという有様で、絶景に目を奪われようものなら本当に死が待ってそう。う~ん、なんとも心地いいスリルだ。

さらに言わせてもらうと、アップダウンがかなり多い。
だから私のように大荷物なバイクなんかは、ギヤ選択やアクセルワークなどを誤ると
たちまちエンジンが悲鳴をあげることになる。

木々が囲む坂道を上らされたかと思いきや、たちまち海原へ突っ込むような下り坂に落とされる。これはもはや、ドライバー、ライダーのためのジェットコースターだ。

気持ちいいのやら恐いのやら忙しい時間を2時間過ごし、やっとこさ平坦な男鹿駅周辺に着く。余談だが、秋田は24時間休憩所が設置された道の駅が多く、そこでひとしきり心臓を落ち着けた。
「次は軽装にして、また走りに来よう・・・」
必然の如く、お気に入りリストに男鹿の名を書き加えておいた。