岐阜編 水着は持ったか。

文・写真/侍ライダー 木村峻佑

うだるような暑さを振り払うように、岐阜市から国道41号を北上、山を目指す。目的地は下呂温泉だ。

国道41号は飛騨川沿いに走る山道。タイトなカーブがなく、ロケットⅢでもコーナリングを楽しめる快走路だ。
山陰に涼を見つけながら、碧に染まった川面を眺めつつのライディングは贅沢であった。

山と川を見物しながら1時間ほど走っていると、下呂温泉の看板が見えてくる。木ばかりだった景色も、しだいに旅館といった建造物になりかわっていき、気付けば温泉街の真っ只中へと迎え入れられている。

下呂を象徴する下呂大橋もすぐ見えてきた。付近の駐輪場にバイクを停め、徒歩モードへ。

もちろん、日本三名湯の一つに訪れたのだから、街歩きだけではなく入浴もさせていただくつもり。ただ、名湯の入浴料はちょっとお高め・・・。
でも、安心してほしい。実は下呂には、“無料”で入れる温泉があるのだ。タダですよ、タダ。
それは、先に紹介した下呂大橋のたもとにある。

ここです。噴泉池。
昔はここにたくさんの人々が裸で浸かっていたが、御覧の通り目につく場所なので、現在では水着の着用が義務付けられている。
とは言え、付近には着替える場所などなく、しかたがないので観光客は皆足湯として楽しんでいる有様だった・・・。

安心してください、

はいてますよ。

「ぐあ~~~っ熱い!」
が、体にすぐ馴染むいい熱さだ。

ただ一人だけ肩まで温泉に浸かっているという光景に、周りのカップル、家族連れの方々は少々微妙な雰囲気である。
が、構わん! 旅の恥はっ! 掻き捨てなのだっ!!

というより、こんな開放感あふれる極上の湯を無料で楽しめるというのに、恥ずかしがって入らない人の気持ちの方が私にはわからない。もちろん、入っていいって知らない人もいるのだろうが。
下手に足だけ入れて熱がってるより、よっぽど気持ちいいのになぁ。

いい感じにのぼせてきたら、今度は飛騨川の方へ歩いていき、川にバシャリと体を入れて一気に冷やす。たまらないねぇ・・・!
そんなこんなで2時間ほども楽しんだら、温泉街の方へ出向いた。

中央に用水路が流れ、それを宿や土産屋が挟む温泉街。
ここ一帯は昔から洪水による湯壺の埋没が酷かったそうだが、住民たちはそれらに負けず、
温泉の維持に一千年以上も取り組んできたらしい。
その地元愛こそ、三名湯と呼ばれるほど現在も根強い人気を持つ所以なのだろなぁ。

ちょっと贅沢をして。
『ゆあみ屋』の名物“温玉ソフト”をいただく(税込450円)。
アイスクリームの冷たさが火照った体にしみわたるのはもちろん、下呂で熟された温泉卵を絡めれば、アイスの爽やかさと卵の濃厚さが口の中を瞬く間に占領し、脳神経が旨味で一杯になり、しばし恍惚・・・。
「ああ俺、今! 温泉街満喫してる・・・!」

“無料”を範疇に入れていいのかはわからないが、安かろう悪かろう・・・なんてのはとんでもない。探せば、お金を使わずとも極楽に浸れる場所はあるのだ。

探そう、無料を。愛そう、水着を。そして捨てよう、恥を。