鳥取編 早起きは零人の得

文・写真/侍ライダー 木村峻佑

旅立ち前の予定では、九州→四国→大阪はフェリーで移動する予定だった。
が、調べてみるとその代金も馬鹿にならない。仕方がないので、兵庫は行きと帰りで2分割、山陰側を通って南下し、北上は山陽側を通ることにした。

で、兵庫で2日過ごし明日は鳥取へ…とテントに潜ったところ、悲報が目に入る。
「明日は雨か……」
うーん参ったな。明日は鳥取砂丘を見に行こうと思ってたのに…。砂丘に屋根なんかあるわけないし………。
見送ろうかとも考えたが、悩んだ末“雨が降る前に着きゃいいんだ”と早起きすることに。

普段は6時に目が覚めるが、ちょっと早めて5時に起床。厚くなってくる雲に気を揉みながら、国道178号を一気に西へ向かった。

兵庫から鳥取への国道は曲がりくねった道が多く、速度を出して走りやすいとは言えない。
そのせいか山陰道には無料区間がいくつも設定されていたのだが、やはり私は下道をチョイス。
そのおかげで余部鉄橋など兵庫の名所も見逃さずに済んだ。

少々道に迷ってしまったため、鳥取砂丘に着いたのは7時半。ビジターセンターの駐車場にはクルマがいない。それどころか、職員の方もまだいない様子。
“いや、でも、さすがに誰かしらは歩いているよなぁ…”

だって、全国的に有名な観光地だもん。
写真は、ちょっと考えないと上手く撮れないだろうな…と半ば諦めながらロケットⅢを置き、砂丘へ向かう。この階段を上れば、それなりに人が………。

( ゚Д゚)
冗談じゃなくこんな顔になった。
うっそ。誰もいないじゃん………。

場所、間違えた? 思わず地図を見るが、ここで間違いない。ここが、鳥取砂丘だ。
コロナの影響? 平日だから? それらももちろん要因だろうが、やはりいちばんの理由は朝早いからだろう。

「うわーーーーっ!!!」
と、たまらず歓びの雄叫びをあげてみる。
“待ってたぜ!第1号”とばかりに、砂丘がこだまで返してくれた。

砂丘は駐車場と海側が盛り上がった凹状の地形となっており、その底辺に来ると砂が音を吸収してしまうのか、肌寒さを感じるほどの静寂を味わえる。
人の声はもちろん、風の音も聞こえない。本当に砂漠の真ん中、孤独に漂流している気分になってしまった。

一面の砂ばかりがポスターに映し出される当地だが、陸側を見てみると森が見えたりして、そこそこ日本感はある。
手前にある池はオアシスだろうか…。
最も高い砂丘“馬の背”より。こういう写真、一度撮ってみたかったんだ…! 旅する映画の主人公みたいな、こういう背中。
三脚をどれだけ立てようが問題ないはずである。文句を言う人なんかいないのだから。

座り込んだり、中国武術の練習をしたりと、ひとしきり砂漠の孤独を楽しんだのち、雨が降る時刻も近くなってきたので駐車場に戻る。と、ちょうど観光客が1人・2人…10人…20人…と一挙に増えてくる。
が、その直後に雨がドザーーーっと音を立てて降ってきた。

“ははぁ。クルマ組の人々は、天気予報なんかよく見ないんだろうなぁ。かわいそうに!”
今日ばっかりは、天気に敏感なライダーであることを誇りに思った。
非常に悪趣味だが、雨に濡れながら階段を上る人々を、東屋の下で眺める時間が楽しい。
屋根を持たない者が、屋根を持つものを上回った、印象的なワンシーンであった。