「もしよかったら車あげるよ」

文・写真/水上みみ

分かります。言いたいこと分かります。私だって、“車って貰えるんだ”って思いました。4年前、会社で上司と企画書をつくっていた際に突然、「今度引っ越すんだけど、クルマいる?」と言われて思わず「いる!!」と返した結果、上のタイトルに戻ります。

びっくりですよね。太っ腹な上司に周りもびっくりしたと思うんですけど、車を貰うという事柄が私の人生に起こったことがびっくりでした。上司曰く、車検も切れるし廃車にするつもりだったけど、もし乗りたいならあげるよとのこと。そんな太っ腹な上司からクルマを譲り受け、そこから保険や車検や税金といろいろな手続きを経て、見事私はミニオーナーになりました。

貰ったクルマはMINI ONEハッチバック(R50)で色は鮮やかなメローイエロー。2002年に登場したいわゆる第1世代ミニのため結構古いのですが、そのコンパクトな感じがまた可愛いのです。それまでペーパードライバーだった私にとって、小さくて年季の入った“この子”はパートナーして丁度よく、自分のクルマを持つという初めての感覚も相まって、毎日可愛い可愛いと愛でていました。

実は貰ってから半年ほどは運転=怖いという思いが払拭できず、なかなかハンドルを握れなかったのですが、そうこうしているうちにバッテリーがあがってしまうトラブルが発生。他にも窓が閉まらなくなったりヘッドライトが切れたり。中古車ゆえ部品の寿命は仕方ないけれど、クルマって乗ってあげないとダメになってしまう…と身を以て実感し、そこからちょこちょこと運転するようになりました。
最初は近所のお買い物、慣れてきたら少し遠出、そしてだんだんと高速にも乗れるように。苦手だった駐車の練習も沢山父に付き合って貰い、気が付けば助手席に誰もいなくても一人で運転できるようになりました。そして定期的に乗るようになるとミニの不調はぴたりとやんで、クルマって本当に生きているみたい、としみじみ思いました。

ちゃんと運転ができるって自分の足が長くなったような、そんな不思議な感覚です。いつでもどこでも好きな場所へ好きな時に行ける力を手に入れたみたい。それを感じた瞬間に私の見える世界が広がった気がしました。きっと私もミニもまだまだ知らない世界がたくさんある。まだ走ったことのない道や渡ったことのない橋、現在地が分からなくなるくらいの長いトンネルとか。クルマを持っていなかったら見られない景色やたどり着くけなかった場所も、ミニと一緒なら叶えられる。

ミニと出会って今年で4年。この子が作られて18年。なかなかに古い型だから、手間もお金もかかるけど、この相棒みたいな愛しいミニとそれを可愛がる私の日常をこの枠をお借りしてゆるゆると綴っていきます。