“電動”になっても「クラシック」。
イタリアン・スクーターの代名詞、 ベスパの魅力とは?

取材協力/ピアッジオ グループ ジャパン(株)
文/河西啓介(EIGHTH編集長) 写真/越中屋雅人(EIGHTH)

“大人に似合うスクーター”といえばベスパにとどめを刺すだろう。
ベスパを所有していた河西が、東京モーターサイクルショーのベスパ・ブースを見て回った。

70年以上変わらないリアル・クラシック

いまオートバイの世界では“ネオ・レトロ”、“ネオ・クラシック”と呼ばれるモデルがトレンドだ。つまり60、70年代のバイクを思わせるオーセンティックなスタイルの新型モデルである。

先鞭を付けたのはトライアンフ・ボンネビルやドゥカティのスポーツクラシック・シリーズあたりだろうか。日本車でもカワサキが往年の「Z1」を思わせるZ900RSを発売し、大ヒットモデルとなったのは記憶に新しい。

だが二輪の世界にはそれらのネオ・クラよりもっと本格的なクラシックモデルがある。それが「ベスパ」だ。スチール製のモノコックボディ、エンジンとトランスミッションを一体にしたユニットスイング方式、前輪を片側で支える片持ちフロントサスペンションといった基本的な車体構造は70年以上前の1946年に登場した初代から、変わらず受け継がれている。クルマでいえばクラシックの「ミニ」が、今も基本的な構造を変えずに作り続けられているようなもの……と言えばいいだろうか。

予想を裏切るベスパの「走り」

とはいえもちろん“中身”は最新技術によりアップデートされている。僕は少し前までベスパの「スプリント150」を所有していたのだが、乗り始めてすぐ、その“走り”が思ったより俊敏なのに驚いた。直進安定性も高く、スピードを出しても車体は安定しきっている。トラブルも皆無で、気づけばどこに行くにもベスパに乗るようになっていた。

河西が所有していた スプリント150

正直に言えば、僕はベスパの“格好”に魅力を感じていたのであって、走りにはさほど期待していなかったし、国産スクーターのほうがずっと上だろうと思っていた。だがその思い込みはよい意味で裏切られた。もちろん細かい使い勝手や収納スペースなど、国産モデルのほうが勝っている点はあるが、二輪車としての本質的な“走り”という点では、ベスパのほうが優れているのではないかと思った。

そのスプリント150は事情があり手放してしまったのだが、実はいま、再びじわじわとベスパに乗りたくなっている。だから先日のモーターサイクルショーに展示されていた各モデルにも、個人的に興味津々だった。

プリマベーラか、スプリントか

1台は1968年のデビュー以来、ベスパの代名詞にもなっている「プリマベーラ」の150ccモデル。クラシカルなスタイリングは相変わらずだが、前後ライトがLED化され、安全性が増している。そして車体の基本構成はプリメベーラと共通だが、四角いヘッドライトがスポーティな印象の「スプリント」150の新色「サンイエロー」も展示されていた。

左/Primavera(プリマベーラ) 右/Sprint(スプリント)

以前、自分で購入する際に維持費の安い125ccか高速道路に乗れる150ccか迷ったのだが(ボディは同じ)、そのときは結局150ccを選んだ。今度乗るなら125と150、どっちだろうか? 前はスプリントだったけど、クラシカルなプリマベーラも捨てがたいな……などと、早くも勝手に購入モードで妄想していたのだった。

さらに排気量の大きな「GTSスーパー300」をマットブラックで仕上げた“Notte(ノッテ)”も魅力的だった。まさに“スクーターのグランツーリスモ”と呼びたいモデルで、ちょいワルなボディカラーにグッときてしまった人も多いだろう。

左/Notte(ノッテ)

ベスパ初のEVモデルが登場!

ベスパ・ブースの目玉として展示されていたのは初のEVモデルである「エレットリカ」だ。参考出品となっていたが、欧州では2019年の発売がアナウンスされている。4時間でフル充電できるリチウムイオンバッテリーを搭載し、減速時にエネルギーを回収するシステムと組み合わせることで約100kmの航続が可能。右グリップのスイッチにより「エコ」と「パワー」のモードを切り替えることができる。

個人的には、たとえ中身が“電動”になっても、デザインはクラシックなベスパ・スタイルを守っているのが嬉しかった。EVの時代になっても、ベスパはあくまでベスパなのである。日本に導入された暁には、ぜひ試してみたいと思う。

ところでブースにはベスパ・グッズも展示されていた。なかなか見かけることのないレアなアイテムだけに、思わず見入ってしまった。気になったのはクラシックなスタイルのゴーグル、ベスパのボディをモチーフにしたキーホルダー、1/12のミニチュアモデル。ゴーグルは各部の仕上げが上質で、ベスパに乗るときに着けたら“粋”だろうと思う。

いっぽうキーホルダーとミニチュアモデルは値段がリーズナブルということもあって、ベスパ・オーナーならずとも欲しくなってしまいそうだ。僕自身、ベスパ購入はもう少し悩むとしても、とりあえずキーホルダーとミニチュアモデルは買っておこうかな……と考えてしまった。